副社長メッセージ

  • 写真: 副社長メッセージ

2025年3月期の業績を振り返って

第13次中計(2023年3月期~2025年3月期)の最終年度である2025年3月期の業績については、樹脂加工製品事業において北米で増産となったものの、中国およびアジアで日系メーカーが大幅な減産となったことが影響し、売上高は前期比0.4%増の1,461億円、営業利益は前期比27.5%減の41億円となりました。また、メキシコの子会社譲渡に伴う損失66億円と中国子会社の減損損失42億円を計上し、最終利益は78億円の赤字となりました。結果として、第13次中計最終年度の目標値である売上高1,430億円、営業利益110億円、ROE 9.1%に対し、売上高は円安の影響もあり達成したものの、利益目標については大幅な未達となりました。2025年3月期の業績は非常に厳しいものとなりましたが、不採算部門の処理に目途がつき、今後の成長に向けた基盤の整備ができたと考えています。

第14次中計では 攻めの姿勢に転じるための成長戦略を実行

写真: ROEの変化

2025年5月に開示した第14次中計(2026年3月期~2028年3月期)では、財務目標として、まずは2026年3月期に営業利益50億円、ROE 5.0%以上を目指します。続いて、2027年3月期以降は事業環境の変化に即応して単年度ごとに精度の高い目標を設定し、最終年度となる2028年3月期に営業利益伸長率110%(2026年3月期実績比)、ROE 6.0%以上の達成を目指します。財務規律を重視しつつ、第13次中計で積み残した「攻めの姿勢」に転じるための各種施策を着実に実行し、利益を底上げすることで企業価値の向上に取り組んでいきます。

具体的には、樹脂加工製品事業においては新機種の生産に向けた工場拡張や、自動化を目的とした成形機の更新などで290億円の設備投資を計画しています。また、将来の競争力強化と技術革新に向けて、研究開発にも継続的に取り組みます。ケミカル事業においては、グローバルで事業エリアを拡大していくとともに、ものづくり事業にも注力し、独自の材料・技術を活かした高付加価値な製品の拡販を通じて「稼ぐ力」を高めていく計画です。

資本コストを上回るROEの実現に向けた 事業成長と資本効率の両立

当社は、PBR1倍超を目指し、ROE向上と資本コスト低減を意識した経営に取り組む旨、2023年11月に方針を開示しました。第14次中計でも引き続き資本コストと株価を意識した経営を推進していく方針としています。

当社の株主資本コストは6%程度と認識していますが、第13次中計期間中は、事業環境が悪化する中、残念ながらROEは資本コストを下回って推移しました。第14次中計においては、資本コストを上回るROEの実現に向け、主力事業のさらなる利益追求、製品化につながる開発の推進、事業シナジー創出といった事業利益成長を加速する戦略を財務面からサポートできるよう、キャッシュアロケーションの方針を策定しました。
基本的には3年間で生み出される営業キャッシュ・フローを465億円と見積もり、工場や設備拡張等の事業基盤、研究開発、人材を重点領域としてキャッシュを投入することにより、事業成長と資本効率の両立を目指す運用を推進していきます。また、M&A・アライアンス等のインオーガニック分野に成長機会があれば、それに応じた資金調達枠の拡大等の追加施策も展開し、安全性・効率性を十分に確保しながらバランスシートマネジメントを強化していきます。

また、資本効率向上のための施策として、政策保有株式の縮減も進めています。これまで対純資産比率10%以下を目標に縮減を進めてきましたが、2025年3月期末で9.1%となり、目指す水準をクリアしました。株式売却により獲得した資金は、成長投資や自己株式取得などの株主還元に活用していきます。

株主・投資家の皆さまとの対話を深め 持続的な成長を実現

当社は2023年11月に株主還元方針を見直し、中長期的な安定配当を意識したDOE(自己資本配当率)を導入しています。2025年3月期は不採算部門の処理に伴い、最終損益は大幅な赤字となりましたが、年間配当については安定配当の方針を堅持し、前期比5円増配の105円(DOE2.1%)としました。第14次中計においては、最終年度にDOE3.0%以上とするよう目標を設定しています。適切な資本構成を実現するため、必要に応じて自社株買い等の施策を講じるとともに、事業成長に応じた増配も視野に入れながら、引き続き株主価値の向上に取り組んでまいります。

 同時に、当社グループの成長ストーリーをできる限り具体的にステークホルダーの皆さまにご説明し、資本コストを低減させる活動も非常に重要と考えています。今後も機関投資家や個人投資家の皆さまとの対話の機会や、ホームページでの情報開示をさらに充実させていきます。特に非財務情報についても積極的に開示し、当社グループの持続可能性の根拠をご理解いただけるよう、サステナビリティ経営の推進とIR活動の充実に努めてまいります。

  • 写真: 株主・投資家の皆さまとの対話を深め 持続的な成長を実現