ケミカル事業本部長メッセージ

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ケミカル事業の成長シナリオ

「グローバル」と「ものづくり」を強化するとともに、 社内外のシナジー追求で成長機会を獲得

第13次中計では、「事業の選択と集中」「グローバル展開の加速」「ものづくり事業強化」を柱に据えて取り組んできました。商社にとっては厳しい状況が続き、思うように攻めの施策へ転じることができない中、拠点・顧客ポートフォリオの最適化や、インドやベトナムへの拠点拡充など、着実に事業基盤を固め、次の成長に備えてきた3年間であったと総括しています。

そのような中、4月の経営統合を経て新たに策定した第14次中計では、積み残していた攻めの施策を加速させるべく、ビジネスモデルや業務プロセスに対する既成概念を変え、利益を追求していく方針を掲げました。

第一に重視するのは、やはり「グローバル事業の拡大」です。森六が持続的な利益成長を図るには、売上高に占める海外比率を高めていくことが不可欠であり、目安として2035年までに50%とする方針を打ち出しました。ASEAN地域の強化に続き、8月に開設したドイツ駐在員事務所と、既存のウィーン現地法人の2拠点で、環境商材の需要が高まる欧州地域へ注力していきます。さらに今後は、東欧やアフリカ、中近東などへの進出も検討しており、地政学リスクに対するアジリティを高め、より多様な選択肢を確保していきます。

加えて、「ものづくり事業の拡大」にも引き続き注力していきます。とはいえ、すでに飽和状態にある下流の製造領域に踏み込むのではなく、当社が優位性を発揮できる上流、特に素材領域で新たな機能および付加価値の充実を図っていきます。ここでは、第13次中計で設備投資を行った五興化成工業の化学品合成改善すべき文化や体質を転換し、利益とスピードを重視する新たな事業体制を創造します。受託事業の活用、四国化工の高付加価値なフィルム製造技術の海外展開など、グループ会社のものづくり機能を武器として最大限に活用していく考えです。さらに、一社化を契機に樹脂加工製品事業とのシナジーを高めていくことも重要なテーマです。すでに両事業間で異動も含めた人材交流が進んでおり、異なる領域で培った知見や経験を融合させることで、新たな気付きや業績改善が報告されています。

また、社外の幅広いパートナーとのシナジーも重視しており、既存ビジネスとの親和性が高い領域を中心に、国内外で提携先企業の発掘に努めています。第13次中計では、リチウムイオン電池用絶縁スラリーの開発に向けて、韓国企業への出資を行いました。従来から取り組んでいるカーボンナノチューブマスターバッチの拡販に加え、これから市場が花開く分野への種まきを加速させていきます。

第14次中計に込めた想い

「破壊と創造」を掲げてマインドを転換し 利益につながる価値創造の意識を醸成

今回、これらの戦略を進める土台として、「破壊と創造」というインパクトのあるテーマを掲げました。私が最も大きな課題であり伸びしろでもあると捉えているのは、利益創出に向けて貪欲に挑戦し続けるマインドの醸成です。一人ひとりが利益を意識して行動しなければ、高利益体質への変化は望めません。また、環境変化が激しい昨今、顧客の要望にタイムリーに応え、スピーディーに行動しなければ、すぐに事業そのものが陳腐化してしまいます。あえて強い言葉を投げかけることで、従業員一人ひとりに「今の業務で変えるべきところはないか」「どのように顧客の役に立ち、社会に貢献していくのか」ということを考えてもらいたい。自ら考え、迅速に行動できる力を、組織全体で育てていきたいという強い想いと危機感を込めました。私自身、各拠点で直接従業員と対話を重ね、現場と経営の距離を縮めながらこの姿勢を浸透させていきたいと考えています。

同時に、こうした意欲を高め、仕事の厳しさや成果にしっかりと報いるため、報酬・待遇の見直しや、意欲ある優秀な人材を登用する柔軟な人事制度の適用も加速します。また、かねてから実施している研修やビジネススクールなど、スキルアップの機会を拡充するとともに、グローバル人材の育成にも注力します。近年では外国籍や現地採用の人材の登用が増えており、今後もキャリアや国籍、性別を問わず、能力重視で透明性の高い人材配置を推進していきます。

商社のミッションは、顧客と同じ目線で市場の動きを機敏に察知または予見し、常に種を蒔き続けることです。長期ビジョンや第14次中計の目標達成に向けて当事業に求められているのは、「化学×ものづくり」で新たな価値を生み出し、さまざまな産業分野に提案し続け、挑戦を通じてグローバルで独自のネットワークを構築すること。そして、マーケティングの成果を森六グループ全体にフィードバックしていくことだと認識しています。私自ら「破壊と創造」を実践しながら、その責任を全力で果たしていく所存です。

グローバル事業の拡大

森六のケミカル事業部門は12か国に拠点を展開し、商社機能とものづくり機能の総合力で顧客に最適な素材・製品を供給しています。欧州・ASEANでの事業拡大に加え、新興市場への進出の可能性も視野に⼊れた営業活動を展開しています。外部環境の変化を的確に捉え、経営資源を投入すべきエリアを明確化し、グローバルシェアの拡大に取り組みます。さらに、グローバル拡大とものづくり事業を⼀体で推進することで、成長機会の最大化を図ります。

第13次中計の総括

欧州・インド・マレーシアといった成長が見込まれる地域において、今後の事業拡大に向けた基盤整備を完了しました。特に欧州では、ドイツ・デュッセルドルフへの新事務所設置に向けた準備を進め、既存のオーストリア拠点と合わせた2拠点体制により、欧州全域をカバーする体制を構築しました。インドでは、現地法人による市場開拓と黒字化を達成し、さらなる事業拡大を検討中です。また、電機・電子分野の展開を通じて、マレーシア市場への参入にも取り組みました。

第14次中計の戦略

連結ベースでの海外利益比率をさらに高めていくため、グローバルカバレッジ拡大を進めます。第14次中計では、第13次中計で拡充したグローバル拠点を活用しつつ、インドをはじめ、アフリカ、東ヨーロッパ、中東など、これまで関わりのなかった地域・国も含めて積極的に進出していく考えです。また、リスク分散の観点からも多様な選択肢を確保することを重視し、さまざまな地域に戦略的な足掛かりを構築することで、将来的なリスクマネジメントと成長機会の獲得の両面に対応します。

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