グループシナジー

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ONE TEAMが生んだ森六の付加価値

高い品質と安定供給が求められる自動車部品において、新規の材料・部品が採用されるのは容易なことではありません。この難題に立ち向かうべく、森六ケミカルズと森六テクノロジーは1つのチームとなってゴールを目指しました。その結果、大きなシナジー効果が創出され、グループとしての新たな強みにつながっています。

森六オリジナルの材料・部品という高いハードルに挑む

「既存材料と同等の品質・安定性を、より低コストで実現する」――このプロジェクトをシンプルに表現するなら、これだけの言葉で済んでしまいます。しかし、その陰にはプロジェクトメンバーの並々ならぬ苦労と努力がありました。

それを伝えるには、まず自動車部品において新規参入のハードルがいかに高いかを説明する必要があります。自動車メーカーにとって何より重要なのは、「常に品質の高い部品が安定的に供給され、実車が市場に出て5年10年たっても不具合が生じない」ことであり、その証明のためには膨大なテストも必要です。よほど大きなメリットがない限り、わざわざリスクや手間をかけて切り替えようとは考えません。結果として「納入実績がある部品」が優先される傾向にあるわけです。材料についても自動車メーカーから「認定材」として指定されており、オリジナルで新規に開発することはかなりの難題でした。

しかし、そのハードルに挑もうと決意したのが、森六テクノロジーの開発部隊と森六ケミカルズの営業部隊です。「森六ケミカルズが調達した材料で森六テクノロジーが開発した部品を納入する」というゴールに向けて、2011年にプロジェクトがスタートしました。両社は2000年代初頭、中国・広州に「広州森六塑件有限公司」と「森六(広州)貿易有限公司」という拠点を設けており、すでに中国では現地パートナーと信頼関係を築いていました。そのネットワークを最大限に活かすべく、ターゲットは本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)が中国市場向けに開発したセダン「理念」の外装品としました。

ケミカルズグループ、テクノロジーグループが連携して提案 ケミカルズグループの調達力、テクノロジーグループの技術力を最大限に活用し、部品試作と実車テストを繰り返し行うことで、お客様の期待に応える外装品を作り上げました。

図:ケミカルズグループ、テクノロジーグループが連携して提案

同じゴールに向かって試行錯誤を積み重ねる

目指すは「ホンダ認定材に負けない物性であり、かつ低コスト」な材料です。物性が同等なだけでは採用に至らないため、コスト競争力を追求することが重要でした。まずは、森六ケミカルズと森六(広州)貿易有限公司が最適な材料を選定・調達し、「机上シミュレーション→ペレット※試作→物性測定」を繰り返しました。言うなれば、食べたことのない料理の「味見→調味料の配合→レシピ」です。「硬さ」を加えたら逆に「もろさ」につながるようなことも珍しくありません。試行錯誤を重ね、合格ラインに達する原材料・コンパウンドは実現したものの、次に控えるのは自動車部品としての性能評価でした。

広州六塑件有限公司が部品に成形して実車テストしたところ、ペレットでは生じなかった問題がいくつも判明しました。たとえば80度からマイナス30度の環境下でわずかに変形してしまう、隣り合わせる他社部品とセットで組み立ててみると、合わせ部分の隙間が大き過ぎたりキツ過ぎたり…等々。ときには材料から見直し、つまり「ふりだしにもどる」事態となりメンバー一同落胆することもありましたが、だからこそ強力なONE TEAMでゴールを共有し、納得できるまで徹底的に突き詰めました。その結果、最終的に広州ホンダから新規部品として認めていただくことができたのです。こうして開発された森六オリジナルの部品は、フロントガラス下部の外装品「カウルトップ」や一部内装部品に採用され、いまではホンダの複数車種に搭載されています。

ペレット:球形または円柱形に固めた造粒物

ホンダ車に採用されたカウルトップカウルトップは、自動車のフロントガラス下部、ボンネットの付け根に装着されている外装部品です。写真は、森六テクノロジーと森六ケミカルズの連携によって生み出され、ホンダ車に採用された実際の部品です。

写真:ホンダ車に採用されたカウルトップ

シナジー効果の追求がグループの可能性を広げる

今回の開発プロジェクトは、両社に多大な収穫をもたらしました。森六ケミカルズにとっては、オリジナル配合により樹脂材料の開発から部品としての採用までワンストップで対応できるということ。森六テクノロジーにとっては、森六ケミカルズのマーケティング力を活用することでビジネスチャンスの拡大につながるということです。両社の連携を通じて、「森六オリジナルの材料を使えばコストを抑えつつ薄肉化・軽量化を実現できる」ことを、上流から下流まで一貫して提案できる可能性が広がりました。これこそが最大のシナジー効果だといえます。

そして、両社はさらに先を目指しています。今回は、森六オリジナルとはいえ、自動車メーカーの「認定材」をベンチマークとして、廉価な「代替材」を実現したケースでした。「より付加価値が高く、どこにもマネのできない本当のオリジナル材料を生み出す」という新たなゴールに向かって、プロジェクトメンバーの挑戦はこれからも続いていきます。

中国市場向けのホンダオデッセイ(奥德赛)今回のカウルトップが採用された、中国市場向けの車種です。森六グループは世界中に広いネットワークを持ち、各国市場のニーズに合った製品を供給しています。

写真:中国市場向けのホンダオデッセイ

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