多層成形加飾
多層成形と照明の融合による多彩なデザインのご提案
森六テクノロジーは、自動車用樹脂部品の専門メーカーとして、多彩な加飾技術を有しています。
原材料そのものへの着色、フィルム貼合、表皮巻き、塗装など、従来のバリエーションを超えた加飾の可能性として、
多層成形の応用によるインテリア・エクステリアをご提案いたします。
塗装と同程度のコストで高級感を演出
自動車のインテリアに採用されている加飾は、塗装や木目調、金属調などが一般的。
そこで、森六テクノロジーの女性エンジニアたちは、自分たちの好きなもの、身の回りに置きたいものから発想を広げ、「雑貨やアクセサリー、ドレスのような透明感・光沢感のあるインテリアを実現できないだろうか……」と考えました。華やかで、きらめきのある高外観意匠を実現するため、自動車メーカーのデザイナーと協働しながら開発に着手しました。
耐衝撃性に優れる材料を基材とし、ユーザーの目に触れる表層に透明材を射出成形することにより、透明感・奥行き感・光沢感を演出。
意匠面に加えた「シボ加工」が透明材の底に影を落とすため、光の角度によってさりげないデザインが見えたり隠れたり。
また、印象的なモアレ(干渉縞)が現れて、ハッと目を引く瞬間もあります。
量産品の事例
すでに確立している技術だからこそ、リーズナブルな価格設定でのご提案が可能。
ホンダの「N-WGN」と「ステップワゴン」のインパネに採用され、好評を博しています。
自由な発想で広がる加飾の可能性
フィルムや表面加工などを組み合わせることにより、加飾の可能性はさらに大きく広がります。
[サンプル1]は三層構造。一層目は奥に行くほど厚みのある透明材、二層目は木目調フィルム、基材は不透明な材料を使用。
高級車に使われるような本木目の再現を狙った組み合わせです。
[サンプル2]はその応用で、一層目に半透明の着色を施したもの。
厚みがあるほど透明度が下がるため、木目の透け方にグラデーションが入ります。
[サンプル3]も三層構造で、表層と基材に、対となる立体的な造形を配置し、その間に装飾フィルムを挟んでいます。
主張しすぎないおとなしい印象の加飾ですが、光が斜めに差し込むと立体的な造形が浮かび上がります。
[サンプル4]は二層構造。波打ち際の水と底砂を再現したような造形です。
表層の透明樹脂のおもて面には波紋のようなシボ加工が施されており、基材には砂のような凹凸が刻まれ、ゆらゆらと光が差し込めば水辺の情景を連想させるでしょう。
デザイナーの自由な発想のままに、ピアノブラックのような無機質な加飾から、ナチュラルで温かみのある空間づくりまで、幅広い応用が可能です。
イルミネーションとの相性の良さも抜群
安価で省電力なLEDの普及により、自動車のインテリアにイルミネーションが使われる機会が増えています。
透明感、光沢感を特徴とするこの多層成形は、イルミネーションとの相性も抜群。
[サンプル5]は二層構造。表層のクリア層には板厚に差を持たせ、基材層には立体的な造形を施しています。
ここにLEDを組み合わせると、間接照明を当てたような陰影が、ドラマチックな効果を生み出します。
[サンプル6]は、その上からさらに半透明のフィルムを貼った組み合わせ。
明るい環境では表層で多くの光が反射し、フィルムの奥はほとんど見えませんが、暗闇でLEDを点灯すると、フィルム奥の造形が浮かび上がります。
自動車インテリアへの多層成形の応用(動画)
同一の金型でグレード別のバリエーションが可能
多層成形技術を応用すれば、同一の金型で、同じ車種にグレード別のバリエーションを用意することも可能です。コストを抑えながら、多様化するユーザーニーズに応えることが、完成車の競争力につながります。
上図は提案の一例です。標準グレード向けには、板厚に変化をつけた着色透明材でピアノブラック調の加飾を表現。塗装による加飾に比べると表面が平滑で、凸凹が生じる「ゆず肌」の発生リスクもありません。上級グレード仕様としては、基材と透明材の間に、例えば木目調のフィルムなどを追加。重厚感が増して、ラグジュアリーなインテリアにグレードアップします。最上級グレードであれば、フィルムを含む三層に立体的な造形を追加。光の差し込み方に応じて表情を豊かに変える、贅沢なくつろぎ空間をつくり出します。あらかじめマイナーチェンジを念頭において設計すれば、大きな追加投資なく商品性をアップさせることが可能です。