グローバル展開

新技術に商機あり―森六のグローバル展開

中東の地中海沿岸に位置するイスラエル。化学品専門商社として、長きにわたり同国に駐在員事務所を設けているのは森六ケミカルズだけです。当初「イスラエルの技術」の輸入から始まったビジネスは、やがて「日本の新技術」の輸出へと広がりました。グループのリソースをフルに活用し、「新技術、新素材の提案によって顧客と共に成長する」という森六ケミカルズのポリシーが、グローバル規模のビジネス展開につながっています。

イスラエルの死海から始まったグローバルビジネス

イスラエルとの取引のきっかけは、イスラエルとヨルダンの国境にある「死海」です。死海から産出される臭素やマグネシウムなどに森六ケミカルズが着目し、樹脂添加剤・医薬中間体用途として日本国内に展開したことがビジネスの始まりでした。

樹脂素材のなかには、火災の原因となったり炎の延焼を助長したりするものがあります。これを安全に使用できる製品の原料にするには、燃えにくく健康に害がないようにしなければなりません。そのために混入するのが臭素系の難燃剤であり、主原料である臭素を世界で最も多く産出しているのがイスラエルでした。

取引を開始した当初は、樹脂に混入する難燃剤をイスラエル企業から調達していましたが、1998年1月にイスラエル駐在員事務所を開設。中東や欧州市場へ進出する足がかりとして、それらの地域での化学品や樹脂領域の取引を拡大してきました。また、日本から輸出した樹脂原料をイスラエル企業とのタイアップで臭素系難燃剤とコンパウンドし、欧州に輸出するビジネスモデルを構築したこともありました。

1998年当時のイスラエル駐在員事務所森六は1998年にイスラエル駐在員事務所を開設。当時、同国に日本企業の拠点は3社程度しかなく、森六グループの社員も3名だけだったものの、イスラエルにおける特殊化学品、高機能樹脂の需要は当時から旺盛でした。

写真:1998年当時のイスラエル駐在員事務所

イスラエルと日本、そして世界をつなげる新たなビジネスの潮流

イスラエルは、2010年に中東で唯一のOECD加盟国となるなど、欧米との文化的・経済的なつながりが深く、今日ではIT・エレクトロニクス・バイオテクノロジーなどの先端産業や、その周辺を支える新興ビジネスが注目を集めています。とくに、国を挙げて起業を支援するモデル国家としてのイメージを打ち出すことに成功しており、グローバル市場における経済技術分野で独自の存在感を発揮しています。

一人当たりGDPが先進国に肩を並べる水準である一方、人口も直近の7年間ほどでおよそ100万人増加するなど、今後も持続的な経済成長が見込める有望市場です。ただし、総人口は日本の10%にも満たないためイスラエル国内市場は小さく、規模の大きな化学メーカーが存在しないことから、底堅い樹脂原材料のニーズが存在しています。

森六ケミカルズは、駐在員事務所の開設を機に、イスラエルから臭素系難燃剤を輸入するだけでなく、日本の優れた技術・素材をイスラエル企業に技術移転してきました。ロボット部品、高機能レンズ、灌漑設備、医農薬、香料、自動車部品など、多岐にわたる分野でイスラエルの企業・産業の発展に貢献しています。

日本→イスラエルの樹脂輸出事例①

STEP1

品質改良ニーズの把握

イスラエルの炭酸飲料メーカーが開発した「自宅で炭酸水を作れるマシン」に使用するボトルの品質改良に苦労していた。

STEP2

改良方法の提案

イスラエルの駐在員が現地企業の品質改良ニーズを掴み、森六ケミカルズと連携して国内大手化学メーカーと相談して新素材を用いた改良方法を提案。

STEP3

性能評価・開発と納品

性能評価を繰り返して新しい樹脂技術を使った高機能ボトルの開発に成功。

日本→イスラエルの樹脂輸出事例②

STEP1

市場ニーズの把握

死海の泥はミネラル分が多いため、化粧品の材料として世界中で重宝されている。そのためイスラエルでは、グローバル市場で愛される化粧品メーカーが多数創業している。

STEP2

新素材の提案

森六ケミカルズは、こうした現地の化粧品メーカーに対して、さまざまな天然由来の添加物を提案して新製品の開発に貢献。

現地企業との連携は毎日行われる新技術の開発に強い関心を持っているイスラエル企業。森六ケミカルズは日々の新規提案を通じて、新規ビジネスの創出や既存ビジネスとの連携に取り組んでいます。

写真:現地企業との連携は毎日行われる

経済発展を続けるイスラエルを足がかりにさらなる成長を目指す

近年のイスラエルは経済発展がめざましく、経済の中心地であるテルアビブは「中東のシリコンバレー」と言われるほどハイテク産業が活発で、世界から注目を集めています。中東紛争などの関係から、もともと軍需産業が発達していましたが、軍需用の技術を民生品へ転用する動きが活発化しており、現在では、経済のグローバル化とともにニッチな高度技術産業を中心とした起業がブームとなっています。さらに、こうした動きを世界の投資家も見逃さず、世界中の資金がイスラエルに集まってきています。

2020年には、成田からテルアビブへ週3便の直行便就航が予定されるなど、日本との距離も縮まっています。森六ケミカルズは、他社に先駆けてイスラエルに進出した強みを活かし、現地企業との緊密なコミュニケーションを図ってきた実績を礎にして、イスラエルと日本、そして世界をつなぐ役割を果たし、新たなビジネスチャンスを創造していきたいと考えています。

経済発展が進むイスラエル2017年の経済成長率は約3.3%。2008年のリーマンショックで一時的に落ち込んだもの2009年下半期にはいち早く成長路線に復帰。その後も引き続きプラス成長で推移しています。

写真:経済発展が進むイスラエル

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